機動戦士ガンダムUC (5) ラプラスの亡霊 (角川コミックス・エース (KCA189-6))

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 ■機動戦士ガンダムUC (5) ラプラスの亡霊 (角川コミックス・エース (KCA189-6))

機動戦士ガンダムUC (5) ラプラスの亡霊 (角川コミックス・エース (KCA189-6))
企画・原案:矢立 肇 企画・原案:富野 由悠季 
角川グループパブリッシング

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当商品の発売日:

2008-07-26


カスタマーレビュー:

購入者の平均評価: stars-5.gif

大人の事情 評価: stars-5.gif
ガンダムは一環してスペースノイドvsアースノイドの物語であるが、
これが革新派vs保守派であり、ジオンvs連邦であり、エゥーゴvsティターンズであり、
オールドタイプvsニュータイプの構図であった。その中に子供vs大人の構図も
常に存在し、ニュータイプは常に子供である。
この表現は間違っているわけではもちろんないし、子供向けロボットアニメであれば、
子供達の共感を得るため、やむをえない。

そんなガンダムシリーズにあって本作は大人のためのガンダムである。
主人公、バナージ・リンクスこそ子供だが、その周りを固める大人たちが魅力的だ。
今までのガンダムのように、ただ古い考えを持った保守派の大人として描かれているのではなく、
それぞれに事情があり、立場があり、秩序を守ろうとする大人。
このスタンスでガンダムを描くことが、これほど面白く感じるとは思わなかった。
ガンダムは成長する。
我々ガンダムを見て育った世代とともに。

蛇足ではあるが、いっそのこと主人公も30歳過ぎて急に覚醒した悩めるニュータイプにしてもおもしろかったかも知れない。

胸が躍らない読者は少ないだろう 評価: stars-5.gif
著者と同い年、所謂ガンダム世代の私にとって
トミノ監督の手によらないにもかかわらず
ひさびさに「正統な」作品を読んでいる気がした。
(挿絵の効果も大きいとは思われるが、
 その点からすると四巻から部数が伸びないような気も・・・)

ファーストから30年近い年月が経過し
直木賞候補作家が作品を手掛けるまでの成長を
当時、誰が予想し得ただろうか?

本巻は第五巻。ニュータイプというある種
「選ばれた人間の特権的な悩み」ではなく
組織の中で歯車として疲弊しながら
それでも道理を貫こうとする大人の描き方に
骨太で、大人が読むに耐えるSFを感じさせる。

本歌取りではあるが、
それでも圧倒的な筆力で展開される物語に
胸が躍らない読者は少ないだろう。

大人たちの現実と戦い 評価: stars-5.gif
 先日東京に出張があり、ついでに神田と浜松町の書店を回ったのだが、本書がコミックやライトノベルの棚ではなく、きちんと文芸コーナーに並べてあるのを見て(かつ、書店の店員さんの手書きによる推薦までついている)嬉しくなってしまった。さすがに東京の大書店は違う。
 これが私の地元茨城の書店だと、少数の例外を除いてコミックやラノベ扱いされてしまうのだ。福井氏ほどの実績ある文芸作家に対してあまりにも無礼な扱いではなかろうか。(まあ、いかにもアニメっぽい安い装丁も良くないのだが・・・)

 5巻に入り、いつもの福井節による”中年の大人達”の描写が更に冴えわたってきた。脇役として描かれる分、仙石曹長や並河警部補のような存在感には正直まだ至っていないが、マックール中佐、オットー・ミタス艦長、レイアム副長、ジンネマン船長など、きちんと重ねてきた年齢を感じさせる大人たちの苦衷と行動は、”子供”しか登場せず(これはキャラクターの年齢のみを指さず、描かれるキャラクターの”薄っぺらさ”、製作者の”幼さ””オタクっぽさ”をもって、”子供”という意味である)、またその”子供”の事情で世界が動いてしまう”オタク向けガンダム”にうんざりさせられてきた身は嬉しい限りである。
 
 1.2巻のレビューの際に、私は本作を「普通の現実を描ける正統派ガンダム」と評したが、福井氏の諸作品はその点で既に冨野氏を超えていると私は感じている。

 冨野監督は、シャアのように、大人になりきれない、大人になりそこなった”こどもおとな”の”痛さ”を描く点では卓絶した力を持っているが、反面”よくも悪くも年齢を重ね、どんな形であれ一本筋の通った大人”を描くのは、決して得意ではない。ファーストガンダムでこういうキャラクターを描き出していたのは、冨野監督ではなく安彦良和氏の力である。(連邦軍参謀本部のゴップ大将やレビル大将などは、安彦氏の”大人を描く力”の好例であろう。冨野監督はこういう人物が描けない)
 だから、安彦氏が演出から抜けたZ以降、冨野ガンダムに出てくる大人は、どこか”変”である。アムロとシャアは最後まで”おとな”になれていない。最後のVに至っては、どこかが”狂った”大人しか登場せず、幼い少年少女にかろうじて希望を託す内容になっている。

 これは大人になりきれない”こども大人”が多くなってしまった現代の現実の”痛い”一面ではあるのだが、一方でVガンダム以降の冨野監督が自己反省をしたように、過剰に”大人への絶望と無垢な少年少女に希望を求める”点で、危険な描き方でもあった。(現代の現実への絶望が、極端な現実否定行動への理論武装になる点で=オウム事件等)

 一方、福井氏は処女作「川の深さ」の桃山警備員以来、常に青少年と中年おじさんのコンビを登場させており(ワンパターンではあるが)、どこかダサい、しかし最後には一本筋を通せる中年オヤジを見事に描く点で定評がある。また、主人公の青少年達の行動のみで、問題を解決させておらず、必ず現実の組織内の大人達の、ささやかな行動の積み重ねで、”ちょっとだけ”現実が前進する、または可能性だけが残るというスタンスを貫いており、決して”少年少女”の言動のみによって事態が解決する形にはしていない。

 本作でもバナージ・リンクスの周りには、スタンスは様々であるけれども、それぞれに少年に生き方を、可能性を伝えられる大人達を配しており、彼らと少年との会話が各章の見せ場になっている。
 その意味では、本作に必ずしもモビルスーツといったギミックは必要でなく、基本的に人間と人間の物語である。しかし、冨野監督の小説”ベルトーチカ・チルドレン”が映画化に際して、”モビルスーツ否定である”としてスポンサー側から却下されたように、ガンダムは不幸にして”本来語りたい本質”からは、常に歪められた発信を強いられてきた。
 ガンダム・ユニコーンが文芸として成功することで、それらに対する強力な一石となることを願ってやまない。 

 いずれにせよ、福井氏が執筆に先立って語っていた”可能性”は、物語の折り返し地点に至り、少しずつ姿を見せ始めている。
 ガンダムを小説という形で発表した意味。
 ガンダムを文芸という舞台に持ち込んだ理由。
 福井氏は、それを”多くの人がガンダムという作品が獲得した普遍性に気付いていない”という表現で発信した。
 ”精巧なガンプラ””オタクっぽいミリタリー用語、世界観””華麗な戦闘アニメーション””萌える美少年美少女”・・・etc。様々な形で発信され継続してきた”ガンダム”に対して、福井氏は本質的に異なる、しかし、”本来のガンダムの可能性”を見せようとしている。

福井氏は天才 評価: stars-5.gif
この人ほどガンダムのファン心理をわかっている人は他にいない。
憎いほどに過去の作品からの結びつきを次から次へと作ってくる。出し惜しみなんてする気は全くないのだろう。
その一つ、今回フル・フロンタルの台詞に、どう考えてもあの人としか思えない台詞が出てきた。
それもまた大興奮の場面で。あの人かも知れない人が大ピンチに陥っている。
まずあの人かも知れない人が大ピンチというシーン事態がもうたまらない!

私は福井ファンで、他の福井作品もほぼ読んだ。
そんな私は、ダグザという登場人物がダイスシリーズと呼ばれる作品からの異人であるように思っている。
今までのガンダムシリーズの中には(∀福井版を除く)いない人種だと思う。エコーズ=ダイスであろう。戦い方が完全にダイスなのだ!
これは私の勝手な感想だが、フロンタルとダグザが戦闘で絡むシーンには、ジオンVSダイス、もっと言えば富野VS福井という、異種格闘技のような大興奮を感じてしまった。
あの人(かもしれない)が920SOFに・・・・!!

そしてその戦闘の行く末に・・・次から次へと降りかかるサプライズの連続。

たまりません!!早く続きを読ませてください・・・

続きをガンダムエースで少し読みましたが、コアファンを狂わせるのを止める気は全然ありませんね福井さん・・・あなた天才です・・・。

謎は一層、深くなるばかり… 評価: stars-5.gif
今までは手に汗握る艦隊戦やMS戦なども楽しめる、
エンターテイメント的部分も多くありましたが、
本巻では大部分が、非常に濃密な人間ドラマに割かれています。
中でも、各人物の過去を遡り、現状との因果関係が判明する部分が
いくつかあるのですが、それは当然、一年戦争からシャアの反乱に
至る過程で、各々がどのように状況に関わっていたかを辿る事にもなり、
各人物像に厚みを持たせています。
それらの登場人物達が、複雑に絡み合いながら展開するドラマが、
本巻の最大の見所ではないでしょうか。
特に前巻で、自らの『義務と責任』に目覚め、ミネバと共に
大胆な行動に出たリディが、連邦議員である父親と再開した際の
一連のシーンが、最も印象に残りました。

ただ、物語は一年戦争以降の出来事にあった背景や意味などを
丁寧に邂逅及び解説しつつ進められていますので、
それを、知識欲を満たす喜びと感じるか、複雑でややこしいと感じるかは、
読者次第かも知れません。
当然、多くのファンは前者かと思いますが…。
ちなみに僕は「あれ?どうだったっけな…」と読み返す事しばしば(笑)。

さて、ストーリーがいよいよ『箱』の核心部分に近付きつつあるのは
間違いないようですが、もちろんまだ判然とはせず、
むしろ、ますます謎は深まっていきます。
一年戦争に始まった壮大なサーガを、どうやって総括するのか?
今後も非常に楽しみですが、企画段階から安彦氏が参加していた
事もあり(本巻も表紙のみ書いています)、大きな期待が寄せられる反面、
生半可な物は容赦なく切り捨てられるのではないかと思われていた中、
コアなファンをここまで引き付ける作者の筆力には脱帽です。

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