“育てる経営”の戦略―ポスト成果主義への道 (講談社選書メチエ)

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 ■“育てる経営”の戦略―ポスト成果主義への道 (講談社選書メチエ)

“育てる経営”の戦略―ポスト成果主義への道 (講談社選書メチエ)
講談社

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当商品の発売日:

2005-04


カスタマーレビュー:

購入者の平均評価: stars-5.gif

観点は良いが・・・ 評価: stars-5.gif
行き過ぎた成果主義の弊害について、まとまった文章を求めるのなら良書であろうし、実際に自分の考えをまとめる上で大いに参考になった。
ただ、残念なのは、著者が「成果主義」を悪者にするために、自分の論拠になる様々な事象を集めているように見える嫌いがあり、客観的な論説という印象がないことである。
著者がターゲットにしている「成果主義」は、かなり顕著に運用している例に限定しすぎているように思われるし、結果として成果主義の弊害ばかりに視点があたり、(90年代に考えられていた)年功型賃金の弊害については十分検証できていないという点において、公平な視点を感じないということである。私は、高度成長期で国家全体の成長を各産業・企業があまねく享受できていた時代にマッチしていた年功型賃金が、各産業の中でも企業間の優勝劣敗が明らかになってきている現状において、機能するとは思えないし、多くの人事・労務担当者がこうした課題に直面し、その運用において工夫を始めているステージにあると考えている。

とはいえ、一つ一つの論点の掘り下げには納得させられる部分が多かったので、今後は、年功型賃金と成果主義の成果と課題を明らかにした上で、現状の日本で機能する賃金・人事制度とは何か、について著者の研究を期待したいと思う。

虚妄の成果主義より良い 評価: stars-5.gif
虚妄の成果主義より出来は良いです。
ただ、具体的な方法は何もなく、あくまでも評論の域を出ていません。
文章能力のある著者なので読んでいて小気味いい箇所が多くあります。
ただ所々間延びした部分も多く、つまみ読みがベストだと思います。

正論。 評価: stars-5.gif
本書は「虚妄の成果主義」での分析を踏まえて、成果主義に代わる考え方を提示している。一見、探していたものは近くにありましたという「青い鳥」的発想、或いは「日本的経営に学ぶ」への回帰と誤解されるかもしれないが、そうではない。正・反・合、ジンテーゼ。ちゃんと読めば筆者は何も旧態依然の家父長的年功序列を賛美している訳ではないことは明白だ。
人事評価は難しい。社員の仕事のモチベーションを上げるのはもっと難しい。評価の目的は配分ではなく、育成とモチベーションにある。経営資源は大きく分けると資本と人。流動性が高まる資本に比べて人の希少価値が高まりつつある現在、人事・評価をどうするかが5年後10年後の企業価値を左右することになる。蓋し「資源・能力の蓄積過程こそが競争優位を決定づける」からである。

高橋教授のファンになってしまいました 評価: stars-5.gif
私自身の職場において、客観的に評価をする制度があるのですが、各社員のモチベーションは最低な状態にあります。
どうしてなのかと考えていたのですが、その答えの一つがここにありました。
客観的な評価をするまでもなく、仕事の出来る人、出来ない人というのは予め分かっていたことにもかかわらず、そういった評価をすることによって、息苦しさ(その具体例も、本書に書かれています)を覚えてしまっていたのです。

では、どうしたらよいのか?

その答えが、この中にありました。もちろん、他のプレビューを書いている方がそうであるように、手放しでは評価は出来ませんが、こういった考え方が今こそ必要なのではないのかと思ったため、星5つを付けました。


ポスト成果主義の出発点 評価: stars-5.gif

 『虚妄の成果主義』で徹底的な成果主義批判を行った急進的反成果主義者、高橋伸夫・東大教授のポスト成果主義の展望を示したといえるのが本書であろうか。
 前段は、やや漫談調で成果主義の失敗を例示し、中段から後段にかけてリソース・ベース理論(あるいはResource-based View,RBV)を援用しつつ、「日本型年功制」の復活を訴える内容となっている。

 取り分け、中段部分のRBV理論とは、乱暴なまとめ方で誤解を招くかもしれないが、要は、競争優位の結果としての標準以上の利益率(rent)の源泉を市場ではなく企業(組織)に求め、企業(組織)における資源・能力の蓄積過程こそが持続的な競争優位をもたらす、というセオリーである。無論、ここでいう資源・能力とは人的なそれを包摂するものと理解して良いだろう。
 それらを私流に解釈すれば、一種の「企業の文化」「企業のDNA」となり得る性質のものであり、成文化・マニュアル化されていないノウハウも当然含まれているはずだ。こうした企業文化等は当然の事ながら、一朝一夕に形成される代物ではなく、「年功制」によって、そして「連結ピン」の役割を果たす「花の係長」らによって伝達・継承されていくものだと考える。
 さらに付記すると、「日本型年功(序列)制」は、例えば、笠谷和比古氏の『武士道と日本型能力主義』(05年、新潮選書)などでも明らかなように、組織経営等に対する日本人の歴史的な「叡智」そのものと言って過言ではない。

 高橋教授が述べるように、「今、会社にとって必要なことは、安価で仕事を引き受ける請負人を調達することではない。手間暇かけてでも、10年後、20年後に、その会社の柱となって担っていく次の世代を育てていくこと」(本書「あとがき」)、即ち「隠された投資」(concealed investment)を行うべきであろう。
 経営者は、賃金原資が不足しているのなら、自らの報酬を減額し、社員の生涯賃金曲線を若干下方修正しつつも、「育てる経営」を推し進め、特に、会社の次代を担う若者たちに「会社の未来」を力強く指し示すべきなのだ。

※ なお、本書は、RBV理論の説明が少し解りづらかったということと、逆に第7章に関しては冗長な印象を受けたので「四つ星」としました。

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