■決壊 上巻
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決壊 上巻 新潮社 >>当商品の最安値チェック 当商品の発売日: 2008-06-26 |
カスタマーレビュー:
購入者の平均評価:
| 決壊を読んで・・・ 評価: |
| 幻想とはここではないどこかできっと存在しているはずだが、永久に実感することのできない不在のことだ。近代が産み落とした「家族制度」と「幸福」という幻想、その崩壊をこの小説は描いている。もはや形骸化した「家族」の中で、あたかもそうするのが当然であり、それを演じることが「=幸福」であるかのように、父、母、兄、弟・・・といった「役」を登場人物達は演じようとするが、演じ切れない。陳腐化したOSに互換性のないソフトをインストールするかのように当然「家族」は機能せず、徐々に崩壊していく。個々の単位である「家族」の崩壊は、コンピュータウィルスのようにシステムの隙をつく「悪魔」(制度下で抑圧されていた遍在する悪意)の顕在化を招き、「家族」の集合である「社会」という巨大なネットワーク自体のシステムダウン(決壊)へと連鎖していく。 表現も人物描写も巧みであり、原稿用紙の空白を埋めるためのペダンチックなギミックもよしとしよう。しかし飽き飽きするほどにこの類のニュースが日々溢れる中で、この小説もやはり、それを小説という形で表現し、反復させただけで、この繰り返される退屈さから逃れるだけの「ズレ」がなかった。それとも、今更「文学」にそこまで期待することはもはや酷なのだろうか・・・。ついでに言うとこのインクまみれの装丁は迷惑以外の何物でもない、特に夏場は。本を読んだあとはよく手を洗いましょう。 |
| 面白いが難しい 評価: |
| 上下でものすごい分厚い本。 私が絶賛している「模倣犯」とどっちが面白いか…というとやはり一気に読ませるという面では「模倣犯」に軍配を上げたい。 この決壊は、本当に起こってもおかしくないような現代の事件を深く取り上げられている。 ブログでしか自分の心情を告白できない父親。そのブログに気づいて、バンドル名で書き込み何かを探ろうとしている妻。その妻からの相談を受け、弟を救おうとする兄。 自分の環境があまりにも劣悪な中で育ち人間的な感情が芽生えず、自分を神と考えて無差別殺人を考え最初の犠牲者をGoogleのブログ検索で見つけ出す狂人。 自分の好きな子と付き合っている相手の携帯からその彼女の恥ずかしい写真を自分に転送し、掲示版に貼りまくってその女の子は不登校に。ばれてしまいリンチに合うのだがそのやり方が陰湿で…。なおかつそのリンチをした相手を殺さずに別の人を殺してしまう…。 もうこれでもかという殺人のシーンが描かれ、生中継中の爆破シーンなどもあり映画化すれば話題になりそうだが、とても子供は見れないという感じのストーリーになっている。 模倣犯とどこが違うのかを考えてみたら、この平野さんの方が文章に使われている単語や筋や引用が難しすぎるのだ。ダンテの神曲がどうのこうの言われても、それより早く次のシーンを…と読み飛ばしてしまいそうになる。 ただ本当に今の世の中を凝縮した感じになっており、読んでも損はないと思います。 最後の終わり方が消化不良…。 |
| 決壊を読んで 評価: |
| ほとんど放心状態になってしまいました。 この物語によって語られる多数の主題は,その各々が,どれも新聞や雑誌の一面を飾るような,そんな大きなものばかりです。心の闇,残虐な犯罪,少年犯罪,報道,報道を名のるワイドショー,被害者・・・すべてが抽象的には無関係であり得ないからこそ,日常的には無関係になっている,そのようなものばかりです。 しかし,多くの人は,とりとめてそれらのことについて日常的に考えるわけではありません。おろらくそんな必要はないでしょうし,ほとんど不可能でしょう。もし,毎日そういうことに真剣に向き合ってしまえば,毎日が放心状態になってしまいます。 ところが,この小説は,日本の社会が抱える多くの問題を(それらは,次々とマスコミに取り上げられて次々と人の記憶から忘れ去られていくものですが),同時多発的に読者の顕在意識にたたきつけます。身の回りを自動的にとりまくすべてのものが,異化されます。 そういうことに無防備だと,あまりの衝撃に,思考を失います。言葉を失います。おそらくそれは,この小説にたびたび現れる,グロテスクな描写だけが理由ではないでしょう。 こうしてかろうじて感想を書くことで,その衝撃がすこしずつ和らいでゆきます。 決壊は,そういう小説です。 それでもなお,この小説を一気に通読されることをお勧めします。 足下から伸びる,一筋の微弱な光を,正面に見いだす自信があれば,の話ですが。 |
| 心の重くのしかかるが読み応えのある力作。 評価: |
| 難解な部分も多いが、現代社会の暗部が緻密な分析と考察で巧みに描かれている。 「完全に善なる世界、完全なる愛の世界などというものが到来したならば、・・・最も誠実な人間は・・・最も理不尽で、最も不可解な殺人を犯すだろうね」(P261) これは、上巻の終盤で犯人が共犯者となる少年に殺人を促す会話である。この後延々に難解な会話が続くが、形而上の命題をシニカルなレトリックで語られて読み応えがある。 読み終えて、しばらく重く暗い気分に浸ってしまうが、もう一度前半の部分を読み返してみると「命の尊さ」「家族の愛」も丁寧に描写されているのが救いである。 |
| 混乱、混乱、混乱 評価: |
| 帯を読んでからストーリーを進めていくのだが、何故この人物が殺されるのか?訳がわからないくらい、殺される家族の幸せな風景。それと対照的な兄貴の素行。 突然叩きつけられる展開、意外にも兄に・・・ 引き込まれ、引っ張られ、身震いしながらも、取り込まれていく自身にブレーキがかからない。 |
本>ジャンル別>文学・評論>著者別>日本の著者>は行>ひ>平野啓一郎>
本>Refinements>Browse Refinements>Format (binding)>ハードカバー>

